お医者さんはお坊さん

医療現場から湧き上がるいのちの声を聞く

コラム

役に立つということ

「人の役に立ってから死にたい。自分を新薬の実験台にしてほしい。」筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者さんが亡くなる三週間ほど前におっしゃったこの言葉がずっとひっかかっていた。人は誰かの役に立つために生まれてきたのだろうか、と。このことを改めて思い出したのは、受... 続きを読む

他を咎めんとする心

受念寺に併設する老人ホーム「受念館」は軽費老人ホームという形態で、もともと生活が自立している人の施設であった。しかし現在、介護が必要な人が増え、いわゆる認知症という診断がついている方も少なくない。施設内では、一見意味もなく歩き回っていると思われる方もおら... 続きを読む

使命を背負って

「ありのままを受け入れる。そうするしかないのだろうが、それでは何のよろこびもない。」「そのままでいい、と言われても、何も安心できない。」ある大腸の疾患で入退院を繰り返していた方と、私が何か"仏教らしきこと"を交えて語りあっていた中で、投げかけられた言葉であ... 続きを読む

暗闇を生きる道

「もしもあなたが、意識がはっきりしているのに、目を開けることも話すこともできない、身体を動かすことも全くできない。そんな状態がずっとつづくとしたらどうしますか。」NHKスペシャル「命をめぐる対話」(2010年3月21日放送)はこんな問いで始まる。この状態は「完全な閉... 続きを読む

宮商和して

受念寺に併設する軽費老人ホーム受念館で、浪速中学・高校の吹奏楽部の生徒の皆さんによる慰問演奏会が行われた。会場は受念寺の本堂である。入居者の方々は、歩行困難の方も介助されたり車椅子に乗ったりして、皆本堂に集まる。様々な音色の楽器が奏でるハーモニーに皆聞き... 続きを読む

風花の供養

突然の肺の病気で心肺停止にまで陥りながら何とか救命された女性。しかし低酸素脳症による高度の脳障害で寝たきりとなり、長年入院されていた。脳障害のせいか四肢はよじれたようになり、ときには動きすぎて危険なため抑制帯をつけられた。さらに癌も見つかり、痛みのため麻... 続きを読む

閉ざされた扉

入院されている患者さんの相談を受けた。以前認知症という診断を受けたが本当にそうなのか診てほしいと言うことであった。初診のときによく行う検査に「長谷川式簡易知能評価スケール」というものがある。今日の日付を尋ねたり、単語を記憶してもらったりして認知機能を評価... 続きを読む

やさしさに潜む闇

  「自分が幸せでなければ人を幸せにできない」ある医師がこう言ったことに対して、ずっと強い違和感を抱いていた。幸せという言葉の意味にもよるが、自分の欲求が満たされて余裕がなければ相手にやさしくできない、とも言っていた。そういう”やさしさ”は、果たしてほんとう... 続きを読む

時間の花

先日、新たにALS(筋萎縮性側索硬化症)の患者さんが入院された。頸部には気管切開といって、空気を通す管を入れるための穴が開けられており、人工呼吸器がつながれている。進行が早く、診断されて1年ほどで全身の筋力がほとんどなくなり、今動くのは眼球と眼瞼、そして数カ... 続きを読む

生きる勇気

五行詩をつづる岩崎航さんという方がおられる。以前より詩集を手にしていたが、先日NHKで「生き抜くという旗印 ―筋ジストロフィーの詩人・岩崎 航の日々―」という番組を見た。3歳の時、筋ジストロフィーを発症され、小学校のころからだんだん歩きにくくなり、中学生3年生の... 続きを読む
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